世界が溶け出す瞬間を

二次元に恋に落ちたらこうなっちゃったんだよ。

鶴丸国永と恋

あるところに鶴丸国永という白い刀のかみさまがいました。恐れ多くもそのかみさまに恋い焦がれた一人の女は、その恋情に焦がれて灰になって死んでしまいましたとさ。おしまい。

 
というおとぎ話をします()
事あるごとに鶴丸国永をこじらせる病持ちが刀ミュに行ったらまた病んで帰って来た話です。
 
※この記事には刀ステと刀ミュのネタバレが含まれます※
 
鶴丸国永という神様に初めて出会ったのは4年前の冬だった。
わたしは初日登録の相模国ユーザーで、1月にゲームが始まって以降、ブラウザゲー未経験でわかんねえ〜〜〜と言いながら進めていた。別に始める前から特別好みの子がいるわけでもなくて、流行り物だから乗っておこうってそんな程度の始め方だった。初期刀は清光だ。今でもかわいい愛しい大好きな初期刀。
最初はレアの出し方もわかんなくて、最初に鶴丸国永を目にしたのはTwitterのタイムラインだった。鶴丸国永はいいぞ、という説明画像が添付されたツイートだった。綺麗な顔だなと思った。線が細くて血の気の薄い白くて綺麗な男が好きなのは性癖だ。
早く来てくれと願いながら鍛刀を続けて1週間、レア4と呼ばれた初期レアの刀の中で一番最初に我が本丸にやってきたのは鶴丸国永だった。早速連れまわすために戦場に出した。
そして運命がごろりと動いてしまった。
「ガラ空きだぜ!」
は??????この儚い系美人(噂によるとびっくりじじい)からなんでこんな??雄の声が?????????????????????????????????
会心の一撃のセリフで大困惑してそのあと万屋セリフ聞いてまた吐くじゃん??このびっくりじじい、わたしがいま恋に落ちたって知っててそう言ってる?????
1度目の恋は、その声で叩き落とされてはじまった。
 
2度目の恋は刀ステの現場だった。
まず前哨戦として、わたしは刀ステの本能寺再演を見ているんだけど、再演は鶴丸国永が初演の染谷さんから健人さんに変わったところでそもそも健人さんはご存知の通り前世がアレでどう考えてもあの事務所で生まれ育った動きをする鶴丸国永は劇薬だった。
実際現場でみていてあぁ好きだなってナチュラルに思ってみてたら、最後カテコで前に出てきた鶴丸国永がお辞儀をした瞬間、唐突に情緒が壊れて泣いた。あの瞬間のこと正直よく思い出せないのに、世界が鮮やかに色付いたみたいに、感情の洪水に溺れてわたしはこの鶴丸国永のことを好きになってしまう、と思った。それは予感であり、確かな実感ではなかったのに、本当に当たってしまった。
そして独眼竜がやってきて、いろいろと端折るけど鶴丸国永が黒鶴になるシーンがあった。正直にいってあまりにきつすぎて見返せない。恋情が募りすぎて自家中毒を起こしてしまうから。
刀ステの鶴丸国永はその視野の広さと経験でもって、あの瞬間に誰がとらわれた場合に戻ってこられるのか、確率の高さと危険度を計算して、自ら堕ちにいったんだとおもってる。鶴丸国永は咄嗟の判断力が高すぎて、それが最善であるとき自分の身を投げ出してしまうんだ。それがどれほど危険でも。もちろんしぬ予定でそうしてるわけじゃなく、生きて帰る算段がいちばん高いと思う選択肢を瞬時に選びとってはいて、だから死なずに帰ってくるけど、わたしは鶴丸をすきだから苦しい。あのひとが自ら死にそうな目に遭っても、戦場にいないばかりか本丸で迎えることもできない。つらい、つらいのに、あの場面でその選択肢を選べる鶴丸国永がすきで、永遠につらいとすきがループしていく。
わたしはあの鶴丸国永が好きで好きでたまらなくて、あの舞台を見たあと、しばらくずっと鶴丸国永という名前を思い浮かべた瞬間に思考が覚束なくなる状態だった。思考が焦点を結ばない。「すき」「つるまる」以外の言葉が消えた。わたし、つるまるが、すき。
鶴丸国永という神様に恋するなんてこんなに愚かしいことも報われないことも恐れ多いこともないのに、わたしは抗いようもなく恋に落ちた。わたしから全部全部奪って、白いかみさまは何も知らない顔で笑う。だってあの鶴丸は、わたしと縁を繋いだ鶴丸じゃない。だからこそ永遠に届かない、無常な恋だ。遠くからかみさまを眺めたわたしが、一人で勝手に転げ落ちてしまっただけ。
かなわないとわかっていながら、鶴丸と二人で白い闇に溶けて死にたいから連れてってよ、と半ば本当に思っていた。神隠し願望、どうあがいてもメンヘラです。
本丸の中で生きるわたしと別の本丸の鶴丸国永であるあの鶴丸出会う可能性も薄く、また深い関係性を築く可能性もない。だから病んで落ちていくのさえ一人遊びで、でもそれ以外にできることがない。焦がれれば焦がれるほど病むしかないのだ。あれはそういうくるしい恋だった。
 
長らくその恋を煩ったあと3度目の恋、活劇があって、そして4度目に訪れたこの感情はおそらく恋ではなく、それでも、わたしはあのかみさまのことを狂おしいほど好きでたまらない。
岡宮くん正直こんな新人に鶴丸とか大丈夫か!?とおもって実際見てみたらスペックの高さでしんだ話とかもあるんですけど、岡宮くんがどうこうではなく物語の配役でじわじわ病んでいる(そもそも本筋に没入するのを邪魔しないだけのスキルがあったという点において岡宮くんは偉い。褒めたい。ありがとう)
本編で鶴丸国永は終始引いた視点から物語を眺めていた。意図的だと思ったのは殺陣でやたらと刀を鞘に収めたまま振るっていて、相手を倒すための動きではない部分がかなり多かった。
あれはなんだったんだろうな〜〜とずっと考えていて、ひょっとして「まわりの様子を観察していた」のでは、もっと言うと「自分以外の刀と時間遡行軍と検非違使の思惑を探っていた」のではないかと考えている。
鶴丸は後から合流した刀なので、みほとせ組である村正と蜻蛉切がここまでに何があって結果どんな想いを抱えているか、確認する必要があった。事実、村正は死んでしまった信康のことで精神こじらせてたし蜻蛉切さんは村正のありかたを心配してた。
御手杵に関しても、元主の結城秀康を前にしてどの程度動揺するか確認したかったはず。(刀ミュ時空は阿津賀志の頃から元主のあれこれを割りきれない子が割りきれないまま出陣するのがあるあるなので不安定要素として見積もる癖があっても不思議じゃない)
篭手切は明石が問い質した通り「先輩が諸悪の根源」「でも先輩を見殺しにしたくない」という意図があった。
明石はなんだかんだ世話焼きなので篭手切の思惑を気にしているし、「明石が篭手切を気にしている」という事実を鶴丸は本丸の時点で盗み見て理解している。
という状況で、鶴丸国永はそのすべてを見抜いて適切に配役を振り分けて、なおかつ危険度の高い検非違使を引き付ける役を問答無用で持っていった。
そして最後残りの問題がひとつに集約されるところまで待って、5人の前に帰ってくる。白の羽織を真っ赤に染めて。
メタ的な事情で「鶴丸に赤を纏わせたかった」という意図があるのはわかるんだけど、それでも傷だらけの鶴丸が出てきたとき心臓が止まるかとおもった。会場を笑わせようと、たいしたことないぞって笑って見せる鶴丸を見て、なんでここでみんな笑えるのと思った。こんなに傷付いてる鶴丸鶴丸だけが血まみれで、ひとりでこんな厄介なもの引き受けた鶴丸を見て、なんで笑えるんだ。
笑ってほしいんだよ、鶴丸は。鶴丸にそういう意図があって、そもそも戦いとはそういうものである、という覚悟が審神者には必要で、それでも審神者である以前に鶴丸がすきな自分が泣き出してしまった。
鶴丸国永という男はどうしてこうなんだろう。最善を選びとったはずで、最善なのも事実で、ただ結果として自分だけが傷だらけになる道ばかりを選ぶ。
刀ステもそうだったし、刀ミュでもそうだった。危機的状況に陥った時「なんとかなるさ」といって飛び込んでしまう。死にたがりなのか?墓から掘り返されたとして、今を生きてるなら、きちんと生きようとしてよ、なんでそう、はたからみたら自分のこと二の次にしてるように見える生き方を選ぶの。なんでそうまでしてもまだ笑ってるの。
刀ミュでもそういう立場を引き受ける鶴丸を見て、つらすぎて思い出せば思い出すほどきつくて病んでしまうし、そういう鶴丸だからすきだとおもってしまう自分がいる以上、誰よりも自分が非道で、くるしい。
これを恋と、呼ぶべきではない。
 
 
鶴丸と出会って4年経って正直本丸には帰ったり帰らなかったりしてるけど、もう随分と長いことわたしの近侍は鶴丸国永で、鶴丸国永だけで、第1部隊は単騎鶴丸国永で固定されている。弊本丸はわたしと鶴丸二人の世界で十全だから。
でも鶴丸はそれを見てまた呆れている。わたしの恋に気付いていて、こたえる気がなくて、わたしがどうにもならないとわかっていることまで踏まえて、なにも言わず放置している。冷たさではなく温情だった。諦めろとは言わない優しさに、わたしは4年も甘え続けている。
弊本丸の鶴丸国永はびっくりおじいちゃんというよりは老獪とも呼ぶべき狡猾さと皮肉屋な面の濃い鶴丸国永なので、他本丸の鶴丸国永と比べるとおそらく静かで、何も言わずに本丸を眺めていることが多い。主であるはずのわたしがポンコツなせいで(大人数に対して目端がきかない)本丸全体の采配について頼りきりになっているところが大きく、そうならざるを得なかっただけなので申し訳ないきもちもある。
ただ、わたしの鶴丸国永がわたしのことを受け入れなくても、鶴丸国永はいつだって、どんな世界線でだって、長く生きて視野の広い頼れる愉快なお兄さんとして振る舞って、最後の最後いちばん厄介な案件を引き受けて笑っているから、そういう姿を見るたびにわたしは何度だって恋に落ちてしまうんだと思う。無防備に落ちて、叶いもしない恋情をこじらせて泣くのだ。わたしは鶴丸国永に何度だって恋をして、叶わずに病んでいく。それが未来永劫変わらないわたしと鶴丸国永の恋の形なのだ。